降る雪をおぼえず雪の降っていたことをこころの母神に見せる

てめえだろ   の にぶい電車を 横切らすうちに 不快ですまでにはなった

おまえはピアスだらけの女を選ぶよと言われたときに光る水星

靴下のくるまりたがる苦しさを冬の袋小路に嘔吐いた

ねむるまでゆれるからだの 凪いでいる海をわかるのはかもめだけ

小気味よく撮ってくれてた軒先のパラパラ漫画みたいにぼくだ

伏線の回収のためにうたう歌 あなたが握るならとおくコーラス

春がすみ澄みきるまでをまなうらのどうしても忘れる飛行船

ほろぼす、と決めてからやる仕事にはChillLo-fiJazzHopでちょうど

間奏のなかをとどかなかったからあかるいテロップに目をやった

思い出すようにおぼろの遠くから立体になる東京タワー

公園通りゆけばこの世は名前からわからなかった種類の楽器

幽霊の話がしたい Googleにゆうぐれをたくさん見せてもらう

動かないまでもことばを揺らさねばブランコの底に水溜まり

浴槽の水面から目をゆるめるとおおきくなるほくろ 腰骨の